桐野夏生さんの小説のおすすめ8選|新刊の情報や魅力を詳しく解説

桐野夏生さんは、幸せな生活を送っていては決して目を向けるはずのない現代社会の闇を女性を通じて描き続けている作家です。夜の世界に足を踏み入れる一流企業のOLや家庭で虐げられ続けている主婦などこれまでにさまざまな女性の痛みを描いています。

過激な内容の小説が多いだけに、初めて読む人にとってはどれから読めばいいのか迷う人も多いと思います。そこでこの記事では、桐野夏生さんの小説の魅力・選び方に焦点を当て、詳しくご説明いたします。

また、桐野夏生さんのおすすめ作品6選や問題作の最新刊の情報がご覧いただけます。また、現代社会の問題を深掘りしている作家さんもご紹介いたします。ぜひ最後までお読みください。

桐野夏生さんは読者の好き嫌いがはっきり分かれる作家さんです。共感できて感動するとか主人公と自分を照らし合わせて読めるような小説ではありません。それは桐野夏生さんの小説に出てくる主人公は、そのほとんどが大きな問題を抱えている人だからです。

つまり、桐野夏生さんの小説を好んで読んでいる人ほど、桐野夏生ワールドから程遠い人なのかもしれません。直木賞を受賞した『柔らかな頬』もグロテスクでドロドロとした人間の内面を見せつける内容です。どれだけ読み進めても理解できない主人公の気持ちや行動を淡々と語っているのが桐野夏生さんの小説の魅力です。

桐野夏生さんの小説を少しでも読んでいる人ならば、意外とも思えるジャンルです。代表的な作品としては『ナニカアル』が挙げられます。島清恋愛文学賞・讀賣文学賞をW受賞した傑作長篇で、作家・林芙美子の戦争中の秘めた恋を描いた物語です。

桐野夏生さんの代表作とも言える作品です。まずはロマンス小説から桐野夏生さんを読むのもおすすめです。

『女神記 』は、桐野夏生さんにしては珍しくファンタジー色の強い作品です。お子様向けではありませんが、物語の要素が強く読みやすい小説です。そのため、桐野夏生さんのギラギラした小説に慣れていない人におすすめです。

ファンからは桐野夏生さんらしくない作品と評されていますが、女性の力強さが描かれている点は桐野夏生さんの世界観が表現されています。

『ナイン・ストーリーズ・オブ・ゲンジ』は、9人の人気作家が集まり、それぞれの視点で新たな源氏物語を書き上げています。この本の中で桐野夏生さんは老いていく光源氏を描いており、美しくモテモテの光源氏とは全く逆の裏源氏に驚く読者も多いのです。

桐野夏生さんはこの他の短編集にもいくつか作品を出しています。同じテーマで何人かの作家が小説を書いており、読み比べができる点がおすすめです。

桐野夏生さんの作品の中には『村野ミロシリーズ』と呼ばれるものがあります。このシリーズは親しみやすく、読みやすいのでおすすめです。

全5作品あり、読む順番としては次の通りです。

• 『顔に降りかかる雨』
• 『天使に見捨てられた夜』
• 『水の眠り　灰の夢』
• 『ローズガーデン』
• 『ダーク』

主人公・村野ミロの名前の由来もあとがきにありますので、ぜひお読みになってご覧ください。

短編小説でおすすめは『錆びる心』です。全6編で構成されており、どの作品もひとくせある主人公が描かれています。全く共感できないそれぞれの生き方に不思議な魅力を感じるかもしれません。

何度も読み返すうちにすっかり異様な世界観にハマるファンも少なくないのです。不気味さと興味深さが共存する桐野夏生さんの最高傑作とも言える短編集です。

『グロテスク』は、そのタイトル通りいい人が誰一人登場せず、人間の心の醜さや差別する気持ちなどが入り乱れている作品です。読み始めて嫌悪感を抱く人もいれば、目を背けたくなる気持ちがありながらも読むのをやめられない人など、この作品に対する感想はさまざまです。

しかし、桐野夏生さんを語るためにはなくてはならない作品です。読んだ後に自分がどのような感想を抱くか、興味を持って読んでみませんか？

総力取材をして書き上げた『夜の谷を行く』は、あさま山荘事件での犯人逮捕後、山岳ベースでのリンチ殺人が明るみになった事件がモチーフになっています。桐野夏生さんによるルポタージュの部分と創作部分が味わえる作品です。

小説の最後にくるクライマックスでは、主人公に希望の光が差しながらもあっさりと幕引きされてしまいます。感動するか、がっかりするかは読んでみて確かめてください。

日本推理作家協会賞を受賞した『OUT』は、ドラマ化・映画化ともされています。パート勤めの平凡な主婦が犯罪にのめり込んでいく物語で、ドラマと映画とではラストが異なります。その他にも『顔に降りかかる雨』『柔らかな頬』がドラマ化・映画化されています。

桐野夏生さんの小説を読むのはハードルが高いと感じる人でも映像で楽しめます。

桐野夏生さんのように毒性の強い小説にハマってしまうと、似た作家を探したくなりませんか？

• 奥田英朗『ララピポ』『無理』
• 新堂冬樹『黒い太陽』
• 東野圭吾『白夜行』『幻夜』『殺人の門』『嫌われ松子の一生』

これらの作品は桐野夏生さんと作風が似ていると言われている小説です。興味がある人はぜひ読んでみてください。

桐野夏生さんの最新刊のテーマは代理出産です。少子化が問題になるたびに女性だけがプレッシャーを感じる現在の日本でも、近い将来代理出産が行われるのではとの考えから小説化されました。少子化・無子化問題に陥る日本の生殖医療に大きくメスを入れる問題作です。

女性の貧困や怒りをテーマに書き続けてきた桐野夏生さんらしい作品に期待大です。

桐野夏生さんの描く小説の中には、これまでに感じたことのない痛みや想像もしなかった痛みが描かれています。さまざまな社会のどうしようもない痛みの中にいる主人公の生活を覗いているような罪悪感さえ感じます。いろんな感情が生まれる桐野夏生さんの作品にぜひ触れてみてください。こちらもあわせてご覧ください。