三島由紀夫のおすすめ人気作品11選｜名作は？初心者にも読みやすいもの・順番も紹介

世界からも注目される天才小説家・三島由紀夫は、独特の世界観を持ち、文章が美しい作品が多いと人気があります。世間からは「三島由紀夫は過激な政治活動をする活動家」というイメージを持たれていますが、生み出してきた作品はどれも繊細で愛に溢れ、人間性の表と裏を巧妙に表したものが多くファンに愛されています。

「最高傑作には何がある？」「読む順番は？」「短編から読んだほうがいい？」など、有名作品の多い三島由紀夫の作品を読む方はさまざまな疑問を持ちますよね。

そこで本記事では、初心者でも読みやすい三島由紀夫作品のおすすめをレビューとともに紹介します。また、三島由紀夫の代表作や小説の選び方、おすすめの読む順番も詳しく解説しますので参考にしてください。

三島由紀夫は、1925年に東京で生まれました。三島由紀夫はペンネームであり、本名は平岡公威です。幼少期から日本の文学・古典芸能に親しんで育ち、1944年に16歳で書いた短編集「花ざかりの森」で作家デビューを果たします。

その後東京大学に進学し、卒業後は大蔵省事務次官として9か月勤務し、退職後は作家の道を選び、「仮面の告白」「潮騒」「金閣寺」など話題作を次々と発表し作家として高く評価されていきます。

その実力は、「ノーベル文学賞」候補にもなるほどです。美しく詩的な文章と耽美な世界観が魅力のミシマ文学は、海外でも翻訳され全世界で愛されています。

三島由紀夫の最高傑作と感じる作品は人それぞれですが、代表作＝最高傑作とよく評されます。とくに有名なのが金閣寺です。こちらは1956年に発表された長編小説です。発売当初単行本はベストセラーとなり、60年以上経過した現在でも文庫版が売れ続けています。

また、下記に金閣寺を含む三島由紀夫の代表作や最高傑作といわれる作品をまとめてご紹介します。

• 金閣寺：近代日本文学を代表する作品・海外でも評価が高い
• 鹿鳴館：戯曲なので読みやすい
• 憂国：自他共に認める代表作
• 豊穣の海：最後の長編小説

三島由紀夫作品は読みにくいという意見を目にすることは多いです。漢字が多いなどの理由が挙がりますが、インターネットで文字を読む環境に慣れてしまったのが原因といえます。

ここでは三島由紀夫初心者の方向けに、おすすめの読む順番を紹介します。ぜひ記事の内容を参考にして、自分の合った読み方を探ってみてください。

• 年代順に読む：作者と同じ時系列で読み進めると、変化が感じ取れる
• 代表作から読む：「金閣寺」・「仮面の告白」・「春の雪」など。手に入りやすく、読者も多いので感想を言い合える
• 映像化作品から読む：「美しい星」・「鹿鳴館」・「潮騒」など。映像もあわせて見ると理解しやすい
• 戯曲から読む：小説よりも読みやすいと感じる方も

三島由紀夫の作品で人気が高く、多くのファンを引きつけているのが小説です。長編大作から短編小説まで数多くの作品があり、ジャンルも恋愛や哲学、歴史をテーマにしたものからSFまであります。物語を美しく彩る文体と人間模様を鋭く描写する三島由紀夫の作品を最も感じ取れるスタイルです。

作品の完成度の高さから、日本国内はもちろん海外でも映画化された小説があります。映画化された小説を読んでから映画を観て、人それぞれに描く三島由紀夫の世界を感じる読み方もおすすめです。

三島由紀夫の作品の中でわかりやすく、三島由紀夫自身の考えをユーモアを交えながら伝えてくれるのがエッセイです。中でも、身近な内容のエッセイは人気が高く、アドバイスをしながらも独特の言い回しなどではぐらかし、最後まで面白く興味を持って読み進められます。

コラムもエッセイと同じく三島由紀夫の考えを伝えてくれますが、テーマは思想や哲学などが多く、武士道や防衛論、日本人とは何であるかを独自の視点から書いています。三島由紀夫の美学を感じ取れるのがエッセイやコラムです。

文学や映画、演劇などに関わってきた三島由紀夫がさまざまジャンルの著名人と対談をした内容をまとめたのが対談集として書籍になっています。テーマに対しての専門的な知識や哲学だけでなく、三島由紀夫の人物像を読み取れます。

エッセイやコラムと違い、対談する著名人がいるため三島由紀夫の考えと著名人の考えが交差・融和し、テーマに対する考察が深くなっていきます。三島由紀夫の強さと弱みが露呈し、人間味のある作家像を浮き彫りにしているのが対談集です。

三島由紀夫の作品には恋愛をテーマにした作品が数多くあります。長編や短編の小説では、ロマンチストな面を持つ三島由紀夫ならではの描写と日本人としての恋愛観を織り交ぜながら、純愛や純潔、同性愛など物語の中で、登場人物が味わう苦悩や歓喜などの感情を事細かく表現しています。

また、エッセイにも恋愛に関する作品があります。ラブレターや恋愛を説く講座方式の書籍や男らしさをテーマにしたものなど、気軽に読みながらも三島由紀夫の恋愛観や自身の理想像などを読み取れます。

小説には作家の哲学や思想が現れるものですが、三島由紀夫の作品の中には哲学や思想が多く盛り込まれているものがあります。武士道や男らしさ、肉体や死に対しての美学など三島由紀夫が大切にしていた思想を絶妙な文体で書いています。

三島由紀夫を読み始める際に、こういった三島由紀夫の思想を知っていると小説が読みやすくなります。エッセイやコラムなど哲学や思想について書いた短い書籍を先に読むと、短編の小説や長編大作の小説も理解しながら読めます。

三島由紀夫の作品は、戦前や戦後の動乱の中で生きている人間を描いた小説が人気を集めています。その時代の苦悩を背景に、日本人の静かな想いや人間の純粋さと浅はかさなど、絡み合った人間描写が作品を濃厚にしています。

現代人が忘れてしまった武士道や死への想いを小説の中で表現し、三島由紀夫が伝えたかった日本人の誇りを人間の弱さと対比して表現しています。それは、「武士道とは死ぬことと見つけたり」で有名な葉隠を解説した葉隠入門にも現れています。

現代の作家には三島由紀夫のファンが多くいます。その作家が好きな作品や、商品レビューなどをチェックすると興味の湧く作品を選べます。

読んだ経験がある作家や興味のある作家がいれば、その作家が好きな三島由紀夫の作品をチェックしてみましょう。現代の作家の中には三島由紀夫のファンが多く存在します。三島由紀夫の数ある作品の中で、興味のある作家が選んでいるものがあれば、より身近に読み始められます。

作家が選ぶ三島由紀夫の作品について、どういったところが好きなのかを知ると、読み進めるうえで、注目ポイントがわかります。

三島由紀夫のファンがどういった感想を得たのかは、作品を選ぶうえで参考になります。他の人にも読んでもらいたい気持ちから、その作品の良さや難しさなどを事細かに説明してくれるので、その中から自分に合っている作品を選べます。

小説はどうしても難しそうな場合、エッセイやコラムなどの商品レビューを見てみてください。小説よりも敷居が低く、自分の興味のあるジャンルであれば気軽に読み進められ、商品レビューの感想も同じ立場の読者が投稿している場合が多く、参考にできます。

三島由紀夫作品は、海外でさまざまな言語に翻訳されています。中には海外で映画化された作品もあり、世界でも高い評価を得ています。

三島由紀夫作品は、海外の大学で日本の文化を知るための参考図書として使用されています。日本人の気質などが小説に取り入れられている、三島由紀夫作品は海外から見て、サムライの時代から第二次大戦までの日本人を知れる文学書なのです。

海外から人気が高い三島由紀夫作品が、花ざかりの森・憂国です。切腹は海外から見て異質なものですが、日本人を知る上で欠かせない習俗です。他にも金閣寺や潮騒など、独特の美しさにについて書かれた小説も評価を得ています。

三島由紀夫作品は、映画化されている作品も多くあります。ほとんどは日本映画ですが、なかには海外で製作された映画もあります。午後の曳航は文庫本として刊行された2年後には翻訳され世界各地で販売されています。その影響もあり、日米合作という形で、キャストやスタッフなどほとんどが外国人で製作されました。

登場人物などの名前は変えられていますが、内容は原作に忠実に作られています。この映画化での影響もあり、ドイツの作曲家により、歌劇の裏切られた海で午後の曳航が原作として使われ、オペラとして上演されました。

三島由紀夫の小説は、これまでに数多く舞台化されています。『豊穣の海』など小説がそのまま舞台化されているものもあれば、『黒蜥蜴』・『ライ王のテラス』など三島由紀夫自身が脚本を手掛けた戯曲作品もあります。近年では、人気実力派俳優が多く出演していることでも話題です。

江戸川乱歩の小説を戯曲化した『黒蜥蜴』は、美輪明宏が数十年にわたり上演してきたライフワーク的な作品としても有名です。長く愛され続けている舞台化作品は、それだけ世間から評価されているという証明なので、ぜひチェックしてみてください。

ここまで三島由紀夫のおすすめ作品を紹介してきましたが、いかがでしたか。三島由紀夫と聞くと日本文学会を代表する作家で難しい本ばかりなイメージがありますが、実際には手に取りやすい作品もたくさんあります。三島由紀夫の本を楽しむために、興味の湧いた作品から読み始めてみてください。