芥川龍之介の小説おすすめ20選｜作風・特徴は？代表作も

芥川龍之介というと、『羅生門』や『蜘蛛の糸』が有名です。国語の授業で『羅生門』を読んだかたも多いのではないでしょうか。近代文学の文豪の一人として、今でも「芥川賞」が実在するほど日本人として知らない人はいないほどの有名人です。

彼は小説において「ストーリー性」を否定し「話らしい話のない」小説を肯定しました。これが芥川賞の根本にもあるものです。芥川龍之介が手掛けた短編小説は、彼の人生の節目に置いてさまざまな表情を見せています。青年期に手掛けた小説と晩年に手掛けた小説はテイストが異なり彼の人生を小説から見ている面白さもあります。

ここでご紹介するのは、芥川龍之介の有名な作品をあらすじを交えてご紹介します。また、あまり知られていない芥川龍之介が手掛けた小説も解説するので、気になる方はぜひ参考にしてください。

1913年に、東京帝国大学（現在の東京大学）文科大学英文学科学期間中の1915年10月に、代表作となる『羅生門』を『帝国文学』に発表します。その翌年には、『鼻』を『新思潮』に掲載し夏目漱石に絶賛されました。大学卒業後は海軍機関学校の嘱託教官として英語科で教鞭をとりつつ、創作活動をします。

1923年ごろから心身が衰え始め、湯治に何度か訪れています。多くの著名人と意見交換をすることで芥川龍之介の作風が出来上がっていきました。1927年に谷崎潤一郎と文学についての論争を繰り広げ、「話らしい話のない」純粋な小説が良いことを主張します。最後の作品『続西方の人』を書き上げて、服毒自殺をしました。享年36歳の若さでした。

芥川龍之介の作品は3期に分けられ、特に初期と晩年の作品が比較されることが多いです。初期は、説話文学を基にした、人間の内面やエゴイズムを書き出した『羅生門』『芋粥』などが有名です。中期には外国の文化に影響を受け芸術至上主義をかたどる『地獄変』や『邪宗門』を描き上げました。

晩年になると、常に死を意識した作品が多く残されています。自分の人生を見直した『或阿呆の一生』や生死を取り上げた『一塊の土』があります。また、『河童』では、人間社会を悲観し、人々に問題提起をし社会問題を考えさせる小説や『歯車』では精神の異常を描いた小説もあります。

芥川龍之介は自分の才能を見出してくれたと夏目漱石を生涯尊敬し続けています。いくつかの作品には「先生」として夏目漱石を登場させています。夏目漱石の葬儀では受付を務めていました。遺書の中には、「夏目先生を愛するが故に先生と出版書肆を同じにしたい」と希望しています。

芥川龍之介に関する逸話が多く残されています。有名なものでは、大の風呂嫌いで、めったに風呂に入らなかったと言われています。しかし、夏目漱石とならば一緒に風呂に入りたいと書き残しています。それほど夏目漱石を敬愛していたことがうかがえます。

夏目漱石に対しての逸話も多く残っています。夏目漱石が好きすぎるあまり、ストーカー行為を繰り返し、漱石を困らせていました。さらには、犬が嫌いだったにもかかわらず『我輩も犬である』という作品まで残しています。

上記でも述べたように、芥川龍之介は36歳という若さでこの世を去っています。1920年ごろから心身が衰えたことにより、作品に「死」を題材にしたものが増えてきました。病弱になり、神経衰弱・腸カタル・胃潰瘍・不眠症など患っています。

秘書と帝国ホテルで心中未遂事件を起こし、同年7月24日未明自殺しました。遺書の中に「僕の将来に対する唯ぼんやりした不安」が自殺の動機だと語っています。芥川龍之介の死後、親友の菊池寛によって新人文学賞「芥川龍之介賞」を設け、現在まで続いています。

高校の教科書に掲載されており、一度は読んだことがある方も多い芥川龍之介の代表作『羅生門』です。面白いことに、学生時代に読んだ時の感想と大人になり読んだ時の感想が全く異なる作品としても何度も読み返したい小説です。

荒廃した平安京にあった羅生門が舞台です。職を失った男・下人の羅生門で会った老婆に対する心境の変化がありありと描かれています。極限の状態に置かれた人間のエゴイズムを描いた物語です。

敬愛する夏目漱石に絶賛された小説『鼻』も芥川龍之介の代表作の一つです。初期の作品で『今昔物語集』を題材にしたクスッと笑える短編小説です。簡潔で美しい文体が特徴的で、芥川龍之介の才能が開花した作品でもあります。

鼻の長い僧侶がある治療法により短い鼻を手に入れるまでと、その後の心理が巧みに描かれる物語です。

芥川龍之介は児童文学にも携わっており、この『蜘蛛の糸』も児童向けに残した代表作です。釈迦の心を説いた教訓児童書は発表当初から多くの人に読まれ、現在も子供向け番組で取り上げられています。もちろん大人の方も楽しめ、子供とは違った感想を持てる小説になっています。

地獄を見下ろしていたお釈迦様が極楽へ昇るための蜘蛛の糸を垂らして大悪党を引き上げようとします。大悪党は自分だけが助かろうと他の人を蹴落とします。エゴイズムについてわかりやすく描いた小説です。

芥川龍之介の芸術に対する覚悟が垣間見られる作品です。『宇治拾遺物語』に収められている説話を題材にした小説で、芥川龍之介の初期にしては珍しい緊張感ある短編小説です。

大殿様から『地獄変』の絵を描くように命じられた絵師が、さまざまな行動で地獄を描こうとする物語です。目をそむけたくなるような描写もあるほどおどろおどろしい文体は、「芸術至上主義」という考えを表現しています。

芥川龍之介の晩年の作品です。『河童』は芥川龍之介は自殺した意図を考えるうえでも重要な作品とされており、文章から人間や社会を痛烈に批判し、彼のを絶望を読み解くことができる作品です。知名度のある作品ではありますが、初めて読むには難しい作品です。しかし、芥川龍之介を知るうえでは避けられない小説でもあります。

本作の主人公は精神病を患っている第23号が河童の世界へ迷い込み、その話を周囲にするというストーリーです。河童世界と人間世界は異なりすぎており、第23号は精神異常者として周囲から冷たい目で見られます。河童の世界の小気味悪さと愛らしい生態を読むだけでも楽しめます。

『或阿呆の一生』は芥川龍之介が晩年、自分の人生を小説風に書き綴り発表したものです。冒頭には「どうかこの原稿の中に僕の阿保さ加減を笑つてくれ給へ」というメッセージを残しています。

芥川龍之介の一生をこの本から読み解き、36という若さでこの世を去った彼に思いを馳せる時間を取ることができます。何を思い何を感じていたかを想像しながら読むと、新しい芥川龍之介像を見出せます。

芥川龍之介が活躍していた時代はさまざまな文学がブームになっていました。特に俳句では正岡子規や高浜虚子など名だたる俳人が多くいた時代でもあります。また、芥川龍之介が敬愛する夏目漱石も俳句をしていたこともあり、芥川龍之介自身も句作していました。

• 木枯らしや目刺しにのこる海の色
• 飛び石は斜めに芝は枯れにけり
• 青蛙おのれもペンキぬりたてか

夏目漱石の作品は快活でテンポよく進む『坊ちゃん』は登場人物の心情や行動を軽やかに描いています。のちに大病を患い、人間の内面を描く『こころ』や男女の恋愛を描いた『三四郎』などがあります。芥川龍之介が病気になり、作風を変えた点が酷似しているので、芥川龍之介が寄せていったとも考えられています。

夏目漱石は言葉遊びが好きで、順序の入れ替え、当て字など言葉遊びの多用が見られ、「沢山」や「兎に角」など造語を作りました。この点を意識して小説を読むのも面白いです。

芥川龍之介は近代文学を代表する文豪の一人です。人生の岐路で作風を大きく変えた彼の作品には彼の人生が詰まっています。代表作はもちろん、芥川龍之介を知れる作品も併せて読むのもおすすめです。

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