白石一文のおすすめ小説10選｜直木賞受賞の小説『ほかならぬ人へ』も！

白石一文は、父親の白石一郎が受賞している直木賞を、親子2代にわたって受賞する快挙を成し、文題界隈はもとより多くの読者からも注目を集めました。白石一文の双子の弟白石文郎も小説家で、家族間で切磋琢磨しているような小説家一族です。

白石一文は幼い頃から膨大な数の本を読破しています。作家である父親が無類の本好きだったので自宅にあふれるほどの本があり、環境的に読書家になり、小説家になったそうです。

白石一文の小説は、どこか頼りなく女性に依存してイヤなタイプの男性が描かれて、嫌悪感を受けながらも憎み切れず最後まで読んでしまいます。なぜ読者は白石一文作品を読み続けるのか、代表作をご紹介しながら探っていますので、ご参考になさってください。

直木賞を受賞している作家は、数々いますが、親子2代にわたって受賞した作家として、白石一文の名は、多くの読書家から大変注目を浴びました。

白石一文と父親の作風は似ているのか、また作家としてデビューした経緯などご紹介します。

白石一文は直木賞作家の白石一郎の長男で、双子の弟も小説家です。1958年に福岡県で生まれています。1992年にペンネーム「瀧口明」で第16回すばる文学賞を『惑う朝』で佳作受賞し、華々しく文壇デビューしました。

その後1944年に「滝口明」と変え執筆を続けていましたが、2000年に白石一文と名を変え『一緒の光』で再デビューしています。病を発症し休職の後、専業作家として執筆業に専念し現在に至っています。

白石一文は父親である白石一郎の著作品が7作も直木賞の候補に挙がりながら、ことごとく落選する姿を見続けてきたので、直木賞などなくなればいいと思うほど嫌悪していました。

父親の白石一郎が1987年に『海狼伝』白石一文は2010年『ほかならぬ人へ』と、親子二代にわたって直木賞を受賞し注目を浴びました。父親の姿を見てなくなってしまえばいいとまで思っていた直木賞ですが、自身が受賞した授賞式では「受賞の瞬間に考えが改まった」と語っていました。

ファンタジーのような恋愛小説から、ドロドロした恋愛小説、政治経済もの、さらには絵本までも書いてしまう「白石一文」の著書選びは、どのジャンルを読もうかと迷ってしまうほどです。こちらでは、受賞作品やドラマ化された作品、そのほかの代表作をご紹介していきます。

白石一文は、文壇デビュー後すぐ『惑う朝』ですばる文学賞を受賞したのですが、体調を壊し当時勤めていた文芸春秋社も休職しなければならなくなりました。その後専業作家となり直木賞、山本周五郎賞と大きな賞を受賞する快挙を成し遂げています。

読書家以外にも、白石一文の名が広まった著作『ほかならぬ人へ』は、『かけがえのない人へ』の二篇になっている直木賞受賞作品です。どちらも純愛を描いた恋愛小説で、リアルで盲目の愛が描かれているようで、賛否がわかれる作品です。

二篇の話が続いているわけではなく、それぞれの物語ですが、どちらも「恋愛とは？」に一石を投じた作品になっています。

白石一文作品の中でも数少ない、上下巻に分かれた長編小説です。主人公はジャーナリストです。政治に対する哲学的な考えや、社会情勢から死生観まで描かれ、さすが早稲田大学政治経済学部の出身と感じます。

かたくるしい小説のようですが、自然の流れのように引き込まれ、読み進んでしまいます。恋愛系小説が多い白石一文らしさもあり、読みやすい長編と言えます。

白石一文の小説は、現実離れかもしれないと思わせるような恋愛小説が数々あります。しかし「事実は小説より奇なり」などの言葉もあるように、現実にあるのかもしれないと感じさせてしまう才筆により、ドラマ化された作品もあります。

一人の大人の女性に起こる運命を描き、その先の人生を予感させるような小説『私という運命』は、豪華キャストを迎えドラマ化された作品です。

400ページ超の長編小説ですが、白石一文作品らしく読みやすい文体なので、とても読みやすです。さらに約10年（29歳～40歳）までの人生の間に起こる運命の多さに、休んでいる暇なくグイグイと引き込まれていきます。

白石一文原作の『一億円のさようなら』はドラマ化され、2022年1月31日にNHKにて「上川隆也」主演で放送されました。ドラマ化されてから原作を読んだ方も多かったようです。

題名の通り、莫大な遺産を相続することより、バランスがくずれていく家族の心情を、白石一文ならではの筆力で描いています。

白石一文作品は自身を投影しているのではないかと思えるような作品が多々あります。そのなかでもこれからご紹介する3作品は、男のイヤなところをこれでもかと見せつけているような感覚を与える程で、白石一文だからこそ書けた作品と言えます。

白石一文のデビュー作です。白石一文作品の根底にあるものが垣間見える作品と言っても過言ではないと思います。生きるとは、愛するとは、そこに絡み合ってくる運命についてなどを描いている秀作です。

好き嫌いがはっきり分かれる白石一文作品の中でも、重めの要素が凝縮されたような小説となっています。しかし、文体が読みやすいのでおすすめできる一冊です。

この作品は、まるで自叙伝を脚色し、小説にしたような作品になっています。

読んですぐ嫌悪感を抱く人も一定数いて、作品の評価も賛否が大きくわかれ、途中で読むのをやめた人もいたようです。しかし一旦は読むのをやめたが、もう一度手に取り一気に読んだ、など読者を不思議な文体で惹きつける納得の白石一文作品です。

「出版社に勤務する29歳の僕……」という設定です。読んでいて「白石一文そのものなのでは？」と作者とダブってしまう作品となっています。

なぜならば、白石一文が大学卒業後に勤めた先が「文芸春秋社」で、精神的な疾病にかかって退職している背景があるからです。実体験から書き起こされたような小説と言えるかもしれません。

白石一文の父親である白石一郎も直木賞受賞作家です。白石一文が語っているように、7回も直木賞候補に挙がりながらなかなか賞を獲得できずにいました。しかし7作品も候補に挙がるすごい作家だったのです。

著作の特徴は歴史小説が多いです。戦国時代を背景に史実に基づた小説には多くのファンがいて、現在も人気がある作家です。

白石一郎の代表作で第97回直木賞に輝いた作品で、海に生きる男たちのロマンを描いた冒険小説の決定版です。九州を拠点とする海賊松浦衆と、瀬戸内海を拠点とする海賊村上衆の在り方やかかわり、海にあこがれを持った少年の成長が描かれています。

実際に存在した村上水軍（海賊と呼ばれた）を題材に壮大な海が舞台の海洋小説は、夢とロマンに溢れ作中にのめり込んでしまいます。舞台としている場所も実際にあり、想像力が膨らみます。

台湾の英雄とされる鄭成功（ていせいこう）の生涯を描いた上下巻に分かれた長編小説です。壮大な海を題材にした鄭成功の一代記とも言えます。歴史小説としてスッキリした文章で、読みやすいです。

歴史小説というと難しいと感じる方もいると思いますが平易な文章構成で、しかも描かれたものが少ない鄭成功の生涯は興味深い小説です。海に囲まれた日本の貿易が、海賊によって良くも悪くも広がっていく様子が、読者を引き付けます。

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哲学的だったり、くどく感じたりで、途中で投げ出したくなる。それなのに、また手に取って読んでしまう。そんな不思議な魅力のある白石一文の、小説を読んでみませんか？人生観が変わるかもしれません。

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