山川方夫の小説おすすめ10選！【口コミあり】傑作揃い｜教科書掲載作品も

ショートショートや短編集が好きな読書家から高い人気を誇る、山川方夫をご存知ですか？山川方夫は芥川賞候補に4回、直木賞候補に1回選ばれた経験があるほど、才能に溢れた小説家です。

また山川方夫の作品は、国語の教科書に採用されたり、翻訳された作品がアメリカの雑誌『LIFE』に掲載されたりなど、日本だけでなく海外からも高い評価を得ています。

この記事では、山川方夫の生い立ちや経歴などの基本情報を解説すると共に、山川方夫の人気小説やおすすめ小説をご紹介します。芥川賞・直木賞にノミネートされた作品もまとめましたので、ぜひ最後までご覧ください。

交通事故により34歳の若さで生涯の幕を閉じた山川方夫は、昭和時代に活躍していた東京都出身の小説家です。本名は山川嘉巳（よしみ）で、日本画家である父の師匠から「方」、親交があった劇作家から「夫」の名を取り、「山川方夫」の作家名を決めたと語っています。

慶応義塾大学仏文科を卒業後、同大学の大学院文学研究科に入学した経歴があります。大学院は中退していますが、在学中に参加していた『三田文学』にて、編集・刊行を担っていました。

『三田文学』は慶応義塾大学文学部を中心に刊行されていた文芸雑誌で、早稲田文学に対抗して制作されました。耽美的色彩が強めで、シュルレアリスムの作家や詩人を多く輩出してきました。

山川方夫は短い小説家人生の中で、多くの素晴らしい小説を世に残しました。ここからは、山川方夫の人気小説をご紹介していきます。山川方夫に興味があるけど、どの作品を読めばいいのかわからないとお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。

ここからは、芥川賞・直木賞候補になった山川方夫の小説について基礎情報やあらすじなどを解説していきます。芥川賞は新人作家に与えられる賞で、直木賞は大衆小説を対象とした賞です。

1958年に出版された『演技の果て』は、第39回芥川賞の受賞候補作品に選ばれました。主人公の心の内がガラスのように繊細に描かれており、愛と死について訴えかけてきます。読む人の年代によって、受け取り方が変化する小説です。

『演技の果て』は青空文庫にて無料で読むことも可能です。また、『山川方夫珠玉選集』や『山川方夫全集』にも収録されており、他の作品と一緒に読みたい方におすすめ。

1959年に第40回芥川賞の受賞候補作品に選出された『その一年』は、山川方夫が編集も務めていた『三田文学』を通して発表されました。モダンな作風と生死について考えさせられるストーリーは、多くの人に衝撃を与えました。

短編集である『その一年』は、『山川方夫珠玉選集』・『安南の王子・その一年 他六編』・『山川方夫全集』など多くの全集に収録されています。また、こちらの作品はインターネット上に無料配信されていますので、ぜひチェックしてみてください。

『海の告発』は『春の華客・旅恋い 山川方夫名作選』や『山川方夫全集』 に収録されている短編小説です。先ほど紹介した『その一年』と同じタイミングの1959年に、芥川賞の候補作品に選ばれていました。

山川方夫の作風が強く出ている作品で、読後のインパクトが非常に大きいです。一方で、少しストーリー構成に難があると言われています。こちらの作品と比較されることの多い、『その一年』と読み比べると、物語の組み立て方などの別の視点から読書を楽しめるのでおすすめです。

『三田文学』で発表された『海岸公園』は、教科書にも載っている『夏の葬列』と並べられるほどに有名で、山川方夫を代表する作品です。1961年に第45回芥川賞候補にノミネートされました。

物語の主人公は高齢で介護が必要な祖父を持つ「私」。祖父のお世話をしようと声を上げたのはなんと、祖父の愛人の養子でした。しかし、祖父が養子の家でお世話になるには、毎月多額のお金を渡す必要があります。お金の件で、主人公は母親と祖父から板挟み状態になってしまいます。

家族問題はどんな時代にもあり、決して簡単に解決できるものではありません。『海岸公園』からは、家族の介護に関する悲しさやつらさがひしひしと伝わってきます。

1964年に第50回直木賞候補に選手された『クリスマスの贈り物』は、山川方夫が得意としていたショートショートになります。山川方夫が書いた小説の中では唯一、直木賞の候補になった作品です。

『歪んだ窓』や『山川方夫全集』に収録されており、短い時間にさっくりと読むことができます。私小説である『クリスマスの贈り物』は、山川方夫の私生活を覗き見しているような感覚になります。

『愛のごとく』は 第51回芥川賞候補作品にノミネートされた小説です。こちらの作品には表題作の『愛のごとく』を含めた6作品が収録されています。他の作品は、下記になります。

• 「演技の果て」
• 「その一年」
• 「海岸公園」
• 「クリスマスの贈物」
• 「最初の秋」

『愛のごとく』は独りよがりな考えに固執している青年と、今は既婚者である青年の昔の恋人との異質な関係性が描かれています。実際に戦争を経験した山川方夫だからこそ、描けるであろうストーリーが展開されています。

山川方夫の作品は、賞にノミネートされた作品以外にも有名なものがたくさんあります。ここからは、上記でご紹介した小説以外の山川方夫の人気作品を解説していきます。興味がある方は、ぜひチェックしてみてください。

『夏の葬列』は国語の教科書にも掲載されている小説で、知っている方も多いですよね。1991年に出版され、現在は青空文庫でインターネット上に無料公開されています。

ある港町が舞台になったストーリーで、戦時中の残酷さや重苦しさを感じる作品です。主人公が銃殺されてしまった少女との思い出の地を訪れるところから物語が進んでいきます。一度読めば、永遠にその戦慄を忘れることができなくなります。

『畳』は下記の3作品が収録されている小説です。

• 林芙美子『馬乃文章』　
• 獅子文六『ある結婚式』　
• 山川方夫『軍国歌謡集』

山川方夫の『軍歌歌謡集』は休戦後の日々が描かれており、戦争の話もありながら、恋愛小説を読んでいる気分になります。『軍歌歌謡集』は青空文庫にて無料配信されていますので、山川方夫の作品をお試しで読んでみたい方におすすめです。

1950年に発表された『バンドの休暇』は、山川方夫のデビュー作になります。山川方夫の若書きである『バンドの休暇』は、難しい表現が含まれており、少し読みづらさがある大人の小説です。

世の中の不条理や孤独に興味がある青少年の情感が真正面から描写された作品です。若い青年が主役となった小説で、10代や20代の方におすすめしたい一作です。

山川方夫はショートショートや短編集を得意としていた小説家です。読後は深く考えさせられる山川方夫の作品は、年齢・性別関係なく多くの方に人気があります。

また、山川方夫の作風が好きな方には下記の作品もおすすめです。興味がある方は、ぜひ読んでみてください。

今回は、小説家の山川方夫について詳しく解説してきましたが、いかがでしたか？読んでみたい1冊は見つかりましたか？山川方夫の小説を読んで、素敵な読書生活を過ごしましょう！また下記の記事も参考にしてみてください。