【口コミあり】丸山健二の小説おすすめ10選｜芥川賞受賞作から映画化作品まで紹介

詩的で美しく、胸の奥にまでぐっと染み込むような深い世界観を持った作品を発表し続ける小説家・丸山健二。独特の表現を用いた丸山健二にしか描けない物語は、数多くのファンに愛されています。

丸山健二の有名な作品としては、『夏の流れ』『雨のドラゴン』『月に泣く』などが挙げられます。芥川賞を受賞した作品や谷崎潤一郎賞・川端康成文学賞を候補になった作品もあり、名作が多いためどれを選ぶか迷ってしまう方も多いです。

そこでこちらの記事では、丸山健二の小説の選び方について解説します。丸山健二の小説おすすめ10選もご紹介しますので、ぜひ小説選びの参考にしてください。

丸山健二は国語教師の息子として生まれ、父の転勤に合わせて各地を転々としながら育ちました。高校卒業後はテレックス・オペレーターとして勤務し、1966年に『夏の流れ』で第23回文学界新人賞、1967年に第56回芥川賞を受賞します。

結婚後は妻と郷里長野に帰り、大自然の中で執筆活動を継続。都会の大手出版社の編集者との関係を絶ち、しがらみを捨てて孤高の立場で小説・エッセイなどを発表し続けています。

丸山健二の代表作ともいえる『夏の流れ』は、1966年に第23回文学界新人賞、翌年の1967年に第56回芥川賞を受賞した作品です。23歳での芥川賞受賞は、後に綿矢りさが更新するまで約40年間最年少記録として扱われました。

『夏の流れ』は、死刑執行日に到るまでの担当刑務官と死刑囚の心の動きを描いた物語です。平凡な家庭を持つ刑務官と死刑の時間が迫りくる死刑囚の対比的な感情を、硬質な文体で淡々と綴っています。

『雨のドラゴン』は、1973年に第9回谷崎潤一郎賞候補として選ばれた作品です。しかし、丸山健二は受賞を辞退しています。

2年間の療養所生活後に自宅療養を続ける男は、部屋から双眼鏡で団地内を覗く生活を続けていました。そんな生活の中、主人公は大男『ドラゴン』と巨大な犬『キバ』を発見します。どこまでが妄想でどこからが現実なのかわからなくなるような独特で不思議な感覚が味わえる作品です。

『月に泣く』は、1987年に第14回川端康成文学賞候補として選ばれた作品です。しかし、『月に泣く』も『雨のドラゴン』と同様、受賞を辞退しています。

『月に泣く』の特徴は、物語でありながら詩的な書き方で綴られている点です。主人公が四季の屏風に描かれた法師の絵を眺める姿を追う形で物語は進行します。巧みな文章表現により、10歳・20歳・30歳・40歳と年を重ねていく主人公の人生を追体験するような感覚を味わえます。

1978年に映画化された『正午なり』。都会で馴染めなかった青年が郷里に帰り、軽度の引きこもりのような状態になってしまうところから物語はスタートします。

摩耗した精神を回復させるために犯罪行為に活路を見出してしまう主人公。脳内に風景が浮かぶような詩的な表現で綴られた文章は、登場人物たちの葛藤・苦悩を読者にダイレクトに届けます。純文学でありながらハードボイルドでもあり、相反するジャンルの共存を成立させた作品です。

『ときめきに死す』は、1984年に監督・森田芳光、主演・沢田研二で映画化されました。仕事をやめて離婚し何もかもを失ったと自棄になった主人公は、昔の知人の依頼で信州の避暑地を訪れます。

知人の依頼は2つ。別荘の管理と、ある青年の身の回りの世話です。必要最低限の会話しかしない青年の目的を想像しながら過ごしていた主人公は、やがて青年のだいそれた目的を知っていきます。主人公と青年の対比をハードボイルドな雰囲気で描ききった作品です。

丸山健二文学賞は、丸山健二本人を選考者にした文学賞です。これまでにない才能を持った書き手の発掘を目的としており、丸山健二が全作品に目を通した上で受賞作を決定します。

現在までの受賞作には、福永十津の『葦笛の鳴るところ』・東賢次郎の『亀と蛇と虹の寓話』・澤間静吉の『恍惚のトルソー』・秋沢陽吉の『流謫の行路』などがあります。丸山健二の作品に興味を持った方は、ぜひ合わせてチェックしてください。

数多くの名作小説を発表している丸山健二ですが、エッセイも多数発表しています。エッセイの中でメインで語られるテーマは作品ごとにさまざまですが、丸山健二が特に情熱を向けているのが庭に関してです。

丸山健二は情熱を持って庭づくりに向き合っており、庭に関するエッセイも書いています。丸山健二の小説を読んで作者の考え・人生・価値観などに興味を持った方は、ぜひ合わせてエッセイもチェックしてください。

丸山健二の小説おすすめ10選をご紹介しました。丸山健二は美しくも胸の奥にまで響く独特の世界観を持った作品を複数発表しています。ぜひこちらの記事を参考にして、お気に入りの小説を見つけてください。こちらもあわせてご覧ください。