【口コミあり】 堀田善衛の小説おすすめ6選｜芥川賞作家の代表作を紹介

世界にはさまざまな歴史があり、その歴史について描かれた小説もあります。世界の歴史を綴る小説に興味はありますが、内容が難しいのではと思っていませんか？

そんな方におすすめなのが、堀田善衛の小説です。堀田善衛はスペイン・中国・インドなど、さまざまな国の歴史を舞台にした作品を多く手がけています。内容が分かりやすく心に残る作品が多いのも魅力です。

この記事では、堀田善衛の小説の選び方やおすすめ作品を紹介します。また、堀田善衛の娘や有名な創作者たちが、堀田善衛の魅力を語った本などもあるので、ぜひ読んでみてください。

ここでは、堀田善衛とはどんな人物なのか紹介します。

• 堀田善衛（ほった　よしえ）
• 生年月日：1918年7月17日
• 出身地：富山県
• 最終学歴：慶応義塾大学文学部仏文科
• デビュー作：『祖国喪失』

堀田善衛は、さまざまな国の歴史や戦争小説を執筆する作家です。慶応義塾大学卒業後、第二次世界大戦末期の1945年3月に国際文化振興会の派遣員として上海に滞在しました。この経験により、戦後の生き方について決定的なものをもたらしたと本人から語られています。

堀田善衛の作品は、中国・中東・インド・ヨーロッパ・アフリカなどを舞台にした国際的な視点を持った作品が魅力です。また、映画監督である宮崎駿が最も尊敬する作家でもあり、文学世界や価値観から影響を受けていると公言しています。

堀田善衛の小説を選ぶ際は、受賞作・そのほかの作品に注目してみましょう。自分好みの作品をみつけて、より堀田善衛の小説を楽しんでください。

堀田善衛の小説の受賞作は、芥川賞を受賞した『広場の孤独』・毎日出版文化賞受賞の代表作『方丈記私記』・複数の賞を受賞した『ゴヤ』があります。ぜひご覧ください。

堀田善衛の小説『広場の孤独』は、芥川賞を受賞した作品です。1950年頃の朝鮮戦争が勃発した時代を描いています。日本はGHQの占領下にあり、公然とレッドパージ（共産主義を思想としている者の公職追放）がおこなわれていました。

物語の主人公である新聞社に勤める木垣に、ちょっとした騒動が起こります。朝鮮戦争の英文電報の訳し方によって左右される運命とは。矛盾のなかで新しい自分と時代を作るために、木垣は奮闘します。戦後の社会の動きがよく分かる作品なので、ぜひ読んでみてください。

堀田善衛の小説『方丈記私記』は、毎日出版文化賞を受賞した作品です。日本中世文学の代表的な作品『方丈記』の著者である鴨長明の人物像を描いています。堀田善衛の描く鴨長明は、少し変わったイメージがあるのが特徴です。

おっちょこちょいでトゲトゲしく、何にでも首を突っ込む鴨長明はある日、天皇を激怒させてしまう大スキャンダルを起こしてしまいます。そんな動乱の世を生きた鴨長明と、戦時中を生き抜いた堀田善衛の自身の思いを重ね合わせ、『方丈記』を読み解いていく作品です。

堀田善衛の小説『ゴヤ』は、複数の賞を受賞した作品です。スペイン最大の画家と謳われたフランシスコ・デ・ゴヤの人生を描いています。当時のスペインの平均寿命は平均35歳だったにもかかわらず、ゴヤは82歳と長く生きました。

なぜ、ゴヤは長く生きられたのか？ゴヤの型破りの人間性と苦難があふれる人生を、堀田善衛が綴っていきます。作品は全4巻で第1部～完結編まであり、すべて読むとゴヤの生涯が分かるので、ぜひ読んでみてください。

堀田善衛の小説のそのほかの作品は、南京事件について書いた『時間』・明月記を読み解く『定家明月記私抄』があります。ぜひご覧ください。

堀田善衛の小説『時間』は、1937年の日中戦争当初の南京事件を題材にした作品です。物語は日本人目線ではなく、中国人目線から描かれています。

主人公の陳英諦は、当時の南京事件で目の当たりにした光景を日記に綴っていきます。言葉にできない悲惨な思いは、リアリティがあり当時の残虐さがよく分かる作品です。戦争の恐ろしさについて深く知れる作品なので、ぜひ読んでみてください。

堀田善衛の小説『定家明月記私抄』は、鎌倉時代の公家である藤原定家が執筆した『明月記』を題材にした作品です。平安から鎌倉時代を生きた歌人・藤原定家の苦悶の人生を送った人物像を堀田善衛が綴っていきます。

『方丈記私記』と同じで、戦時中に生き抜いた堀田善衛の自身の思いを重ねています。藤原定家の生き方に励まされ、暗い心境にあった堀田善衛がどのように変わっていくのかがよく分かる作品です。

さまざまな堀田善衛の小説を読みたい方は、『堀田善衛全集』がおすすめです。全16巻あり、どの巻も読み応えがあります。新品は販売されていないと思いますので、古本屋やネット通販などで探してみてください。

堀田善衛を敬愛する方は多く、堀田善衛について書かれた本もおすすめです。『堀田善衞を読む 世界を知り抜くための羅針盤』は、第一線で活躍する創作者である宮崎駿・吉岡忍・鹿島茂・大高保二郎が堀田善衛とその作品の魅力を語っています。

また、『ただの文士――父,堀田善衞のこと』では、堀田善衛の娘である堀田百合子が父の生き様を描いています。堀田善衛の作品への情熱やユーモラスな日常なども分かるので、ぜひ読んでみてください。

堀田善衛の小説は、さまざまな国の歴史や戦争について分かる作品が多いです。内容が理解しやすく心に残る作品が多いので、ぜひ読んでみてください。堀田善衛の小説を読んで、戦争について深く考えてみましょう。こちらもあわせてご覧ください。