加賀乙彦の小説おすすめ10選｜加賀乙彦代表作品は？『宣告』など人気作も

ファンタジーやミステリー、恋愛などさまざまな世界観を楽しめる小説ですが、精神医学者の観点から執筆された加賀乙彦の作品をご存知でしょうか。犯罪心理の医学者で小説家でもある加賀乙彦は、精神病院を舞台にした作品や、犯罪心理をテーマとした作品を執筆しています。

加賀乙彦は、日本文学大賞や芸術選奨文部大臣新人賞などさまざまな賞を獲得。重厚感のある硬い文章から、すっと頭に入ってくる柔らかな文章まで作品の雰囲気によって使い分ける幅広い表現力が文学界で高く評価されています。

こちらの記事では、『加賀乙彦代表作品や『宣告』などのおすすめ小説などを紹介しています。精神医学の世界に興味がある方は、ぜひ一度手に取ってみてください。

精神医学者として犯罪心理学を研究しつつ、その道の知識を活かした重厚な小説を書き上げる医学者兼作家の加賀乙彦。東京大学の医学部を卒業し、フランス留学を果たすという超エリートな経歴の持ち主です。家族には、妻と息子・娘がいます。

加賀乙彦は、精神医学を元にした犯罪心理系の作品を多く執筆しており、さまざまな賞を取得しています。戦時中の外交官来栖三郎をモチーフとした作品も出版。戦争の生々しい狂気を感じることができます。

ここからは、そんな加賀乙彦の小説の選び方について解説していきます。受賞作や、その他のおすすめ作品を取り上げているのでぜひ作品選びの参考にしてみてください。

加賀乙彦の小説の選び方1つ目は「受賞作から選ぶ」方法です。加賀乙彦の作品は数々の賞を受賞しており、人気の高い作品ばかり。加賀乙彦の作品選びで迷っている方は、一度受賞作を手に取ってみてください。

谷崎潤一郎賞を受賞した『帰らざる夏』は、戦時中の重苦しい雰囲気の中に生きる若者の話です。歴史的資料としても非常に参考になり、物語も重厚で満足度の高い1冊となっています。男性同士の恋についても書かれており、BL要素が含まれるため興味のある方はぜひ手に取ってみてください。

「BL作品」とひとことでは片づけられない重苦しさがあります。

日本文学大賞受賞の代表作『宣告』は、バー・メッカ殺人事件の元死刑囚・正田昭をモデルに描いた作品で、独房内での死刑囚の苦悩を重く書き上げています。死への恐怖、明日が来るかもわからない絶望感を知りたい方は、一度手に取ってみましょう。

テレビドラマ化もされているので、小説と併せて楽しめます。上中下の3巻仕立てで、ボリュームのある作品のため、お時間がある時に読んでみてください。

大佛次郎賞を受賞した『湿原』は、心理学研究者の経験を活かした作品となっています。ファンからも「繰り返し読みたくなる作品」として、その緻密さが人気を集めることに。

とある事件の容疑者として逮捕された2人のお話です。作中の会話や話の筋が鮮明なので、読みやすく仕上がっています。初めて犯罪心理系の作品を読む方にもおすすめの作品です。

加賀乙彦の作品には、受賞作以外にも数々の名作が存在しています。ここからは、受賞されている作品以外の小説を紹介していくので、気になる方はぜひご覧ください。

『死刑囚の記録』には、実際に事件を起こし有罪となった死刑囚の様子が綴られています。加賀乙彦が実際に独房に出向き、死刑囚との対話を通して得られた知見が書かれているのでリアリティを求める方におすすめです。

毎日「死の恐怖」に晒されている死刑囚の心理的な動きが鮮明に理解できます。犯罪心理に興味がある場合にも参考になる一冊ではないでしょうか。

『わたしの芭蕉』は、加賀乙彦が日本語の美しさに着目した一冊となっています。美しい文章を書くことは、作家の使命ともいえるでしょう。理想の文章を追い求める加賀乙彦の姿や、作中で追う「芭蕉の洗練された表現力」に魅せられます。

芭蕉の句が好きな方や、文章の推敲に興味がある方は、読んで損はない作品です。加賀乙彦の芭蕉への敬愛が読み取れて、作品としてだけでなく国語の教科書としても楽しく読めます。

日中戦争から激動した中国の50年の中で、過酷な運命を背負った家族の物語をひとりの老人が語っていく作品です。戦前の中国は、大国となるため経済発展を目指していました。しかし、その裏で革命運動や階級闘争、粛清によってありふれた家族の小さな幸せは無残にも壊されます。

父は死に老齢の母は故郷を追われ、妻子とも引き裂かれ、最強の社会主義国家を築くために過酷な労働を強いられながらも絶望の淵を生き抜いた主人公の物語です。

加賀乙彦の長編作品を一気に読みたい方には『加賀乙彦長篇小説全集』がおすすめです。『フランドルの冬』や『宣告』『湿原』など数々の人気長編小説を集結させたこちらの全集。加賀乙彦ファンの方なら必見です。

犯罪心理に関する作品だけでなく、戦時中の生の声が聴ける作品が多く収録されています。貴重な全集なので、本棚に飾ってゆっくりと読み進めてみてはいかがでしょうか。

加賀乙彦の伝説の長編作品『永遠の都』を対談形式で読み解く『永遠の都は何処に？』や、伴侶を失った作家同士が対談をする『愛する伴侶を失って』もおすすめです。この2冊は対談形式の本で、作品の裏話や加賀乙彦の人生についてを知ることができます。

加賀乙彦の作品だけでなく、加賀乙彦自身の生い立ちや考え方を深く理解したい方はぜひお読みください。

こちらの記事では、加賀乙彦の小説の選び方やおすすめ作品を紹介しました。これを機に、加賀乙彦の長編作品に挑戦してみてはいかがでしょうか。

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