【口コミあり】柴崎友香の小説おすすめ11選 | 人気作のあらすじやエッセイにも注目！

デビュー以来、芥川賞をはじめ多くの文学賞を受賞してきた小説家・柴崎友香。彼女の作品は何気ない日常を描いているものが多く、丁寧な背景描写も合わさり、スッと物語の中に入っていけます。

淡々と描かれる日常のストーリーだと退屈なのでは？と思われるかもしれませんが、そんな日常のなかにある変化や登場人物の心の機微などを感じられるのが柴崎友香の小説の魅力です。

今回は柴崎友香のおすすめ小説をご紹介します。代表作の簡単なあらすじもチェックして気になる作品をみつけましょう。岸政彦との共著エッセイについても必見です。

柴崎友香は大阪出身で、高校時代から小説を書き始めています。大学卒業後4年ほどは機械メーカーで勤務した経験も。1999年に『レッド、イエロー、オレンジ、オレンジ、ブルー』で作家としてデビューしています。

その後も『その街の今は』で芸術選奨文部科学大臣新人賞・織田作之助賞大賞・咲くやこの花賞、『寝ても覚めても』で野間文芸新人賞を受賞。2014年には『春の庭』で芥川賞を受賞し、さらに注目されるようになりました。

柴崎友香の小説はどこにでもありそうな普通の日常を切り取って描いています。何気ない日常を題材とした物語は面白くするのが難しいと思われることが多いですが、柴崎友香はそれを丁寧に描くことで読者を魅了します。

実際に自分が物語の主人公になったり、物語の舞台にいるような気持ちで読み入ることができます。登場人物たちの会話もリアルで、本当に会話を聞いているような気分にも。

柴崎友香は大阪での大学時代に写真部に所属し、人文地理学を専攻。これが風景を丁寧に描写する作風に大きな影響を与えたそうです。

どの作品も物語の舞台や登場人物が見ている風景を鮮明に思い浮かべられるような描写があり、文字を読んでいるのに映像を見ているような不思議な感覚になります。

2010年に『文藝』夏号に掲載され、同年9月に刊行された長編恋愛小説。消えた恋人・麦のことを忘れられないでいた朝子は麦と同じ顔をした男性に出会い、恋に落ちます。

顔がそっくりな2人の男の間で揺れ動く朝子の恋心や恋の行方を丁寧に描いています。自分の前から消えてしまっていた麦の居場所がわかった朝子の行動は...。

人は傷つけ、傷つきながらもなぜ恋をするのか？なぜその相手でならなければならないのか？など人の恋心について改めて考えさせられます。2018年9月にはこの小説を原作とした映画（監督：濱口竜介）も公開されました。

2000年1月に出版された柴崎友香の単行本デビュー作。2004年には『きょうのできごと a day on the planet』というタイトルで映画化もされ、再び話題になりました。

物語は正道の引っ越し祝いに集まった、友人の中沢・後輩のかわち・中沢の幼馴染のけい・中沢の彼女の真紀の半日を描いています。どこにでもいそうな大学生たちの想いやその時の出来事を5人それぞれの視点で描写。

何気ない日常のなかにもいろいろな出来事があり、感情も変化していくということを再確認できます。10年後の5人を描いた『きょうのできごと、十年後』も合わせてお楽しみください。

芸術選奨文部科学大臣新人賞を含む3つの賞を受賞した作品。大阪に住む主人公・歌ちゃんは、初めて参加して全然楽しめなかった合コンの帰り道に年下の男・良太郎と出会います。

良太郎と大阪の昔の写真を見るなどして、自分の生きる現代の大阪と過去の大阪との違いやそこに暮らしてきた人の想いについて考えるように。登場人物たちの方言や話す内容、大阪の街の描写に住んだことがある方は懐かしくなるでしょう。

大阪の街を知らない方もきっと大阪に行ってみたくなります。2012年にはドラマ化され、日本放送文化大賞準グランプリに選ばれています。

2014年6月号の『文學界』に発表され、第151回芥川賞を受賞をした柴崎友香の代表作。離婚して世田谷の古いアパートに引っ越してきた太郎は、隣の家の敷地に侵入しようとしている不審な女を発見します。

彼女は太郎と同じアパートに住む、西という苗字の漫画家。西が侵入までしてみようとしている「水色の建物」の正体とは...？建物内に入れたときの彼女の行動は？など少しずつ謎が解けていきます。西の計画に巻き込まれていく太郎の心の変化や行動にも注目。この作品も描写が細やかで東京の風景が思い浮かびます。

大阪と京都を舞台に、主人公・山田解の10歳から19歳までの記憶を行ったり来たりする形で描写した物語。20編の連作短編で、解の日常の些細な出来事を描いています。

誰もが経験してきた子ども時代、特に大きな出来事ではなくても鮮明に記憶に残っていることも。それは大人になった今も同じで、なんともない日常が今後何年も頭に残る可能性もあるということを教えてくれます。生きることを肯定してくれる小説と感じる方もいるでしょう。自分の過去を振り返るきっかけに読んでみるのもいいかもしれません。

大阪で生まれ育った柴崎友香と、大学生のときから大阪に住み始めた岸政彦の初共著エッセイ『大阪』もおすすめです。

誰もが持つ、今住んでいる土地や過去に住んだことがある土地への思い出を2人の視点でみることができ、世間一般のイメージとは異なる大阪の街の姿が思い浮かぶでしょう。

芥川賞受賞作の『春の庭』をはじめ、映画化・ドラマ化された作品も複数ある人気小説家・柴崎友香。日常の些細な出来事や風景、人物の感情を丁寧に描いており、物語の世界にスッと入り込めます。風景を想像しながらストーリーをお楽しみください。

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