吉田篤弘のおすすめ小説10選｜作品の特徴や人気の三部作シリーズまで紹介

クラフト・エヴァング商會は、吉田篤弘と吉田浩美のユニットで書籍のデザインや、雑貨を手作りし写真に収めたものに文章を添える形式の本を作るなど行っています。装幀デザインも多く手掛けており、2001年に講談社出版文化賞・ブックデザイン賞を受賞しています。

クラフト・エヴァング商會の仕事と、吉田篤弘個人の小説執筆はともに影響しあい、シンクロしています。どちらも文章を綴るのをメインとし、そこにイラストを手掛けるなどの作業をしています。

上の写真の書籍は、クラフト・エヴァング商會で受注し雑貨を作り写真に収め、そして最終的に文章を添えるなどの工程が、クラフト・エヴァング商會での仕事内容をわかりやすくしている書籍と言えます。

吉田篤弘の本業は小説家であり、クラフト・エヴァング商會でのデザイナーでもあります。小説家としての著作品も多いのですが、クラフト・エヴァング商會でのデザインワークは1.000点以上もあり、どちらが本業か区別は付けられないです。

『プリマー新書』を今まで四百冊デザインし、二百冊め・三百冊目・四百冊目と区切りのたびに本を書き続けて、20年間小説の仕事と装幀デザインの仕事を両立しています。やはり、吉田篤弘の本業は、小説家とデザイナーであるといえます。

自身が東京出身だからか、物語の舞台になっているのが東京が多いです。人気の月舟町シリーズも舞台は、吉田篤弘が少年時代を過ごした、世田谷区赤堤がモデルだと言われています。昭和の風景が蘇るような背景は、読んでいてもどこかほっこりします。

吉田篤弘作品に共通しているのは、ストーリー展開がゆっくり穏やかで、登場人物も身近に感じられ、実際にどこか近くで起きている日々なのではないか、と錯覚してしまいそうなところです。

• ビジネスパートナー
• 注文の多い注文書
• クラフト・エヴァング商會の本

クラフト・エヴァング商會とは吉田篤弘と妻の吉田浩美によるグラフィックデザインユニットです。基本的には吉田篤弘が作家、吉田浩美は装幀家の役割分担があるようです。

今まで行ってきたものに、集英社の『戦争と文学』全20巻の装丁やブックデザイン賞受賞作の『稲垣足穂全集』『らくだこぶ書房21世紀古書目録』のデザインがあります。

妻である吉田浩美は、吉田篤弘とのビジネスパートナーでもあります。クラフト・エヴァング商會は、吉田浩美が友人と運営していて吉田篤弘は裏方として手伝っていたのです。のちに友人が抜けて夫婦二人のユニットとなり現在にいたっています。

今、夫婦でユニットを組んだメリットを語るとしたら「食事中の会話からアイデアの種が生まれるときがある」だそうです。

クラフト・エヴァング商會と小川洋子が、現実と非現実の狭間のような世界観で、注文書（小川洋子）・納品書（クラフト・エヴァング商會）・受領書（小川洋子）の物語を繰り返しながら進んでいきます。

美しい言葉使いの物語です。同じパターンの繰り返しですが、それぞれが独立した物語になっており、まるで短編集のようでもあります。

クラフト・エヴァング商會の名で出版されている本は、多数あります。初期の作品『ないものあります』（2001年）は表題のとおり、実在していないものを「ある」と紹介しています。

『じつはわたくしこういうものです』（2002年）は架空の人物19人の架空の仕事をインタビュー形式で綴られています。クラフト・エヴァング商會の書籍は全体に想像力を掻き立てられてしまいます。

• つむじ風食堂の夜
• それからはスープのことばかり考えて暮らした
• レインコートを着た犬
• 番外編「つむじ風食堂と僕」
• 番外編「物語のあるところ月舟町ダイアローグ」

吉田篤弘の月舟町シリーズは、代表昨品として有名な三部作『つむじ風食堂の夜』『それからはスープのことばかり考えて暮らした』『レインコートを着た犬』ですが、どれから読んでも物語に不自然さがなく面白いです。

月舟町シリーズ（三部作）の一作目に挙げられるのが『つむじ風食堂の夜』です。舞台はもちろんホッとする懐かしさを感じる町の月舟町です。月舟アパートの住人や月舟映画館、そしてつむじ風食堂に集う人たちが夢追い人で暖かいのです。

自分もこの町にたどり着きたいと思う作品です。この後に続く月舟町での何気ない日常が気になり楽しみになります。

月舟町三部作の二作目が『それからはスープのことばかり考えて暮らした』2006年刊行です。二作目なのですが、のっけから「犬もレインコートを着る時代だから」と、三作目を匂わせる一文があります。

この一文は、後に三作目が発刊されてから気付くのですが、吉田篤弘らしい自然な布石の置き方で、次作への期待を持たせるのに役立っています。

月舟町シリーズ三作目は、月舟町の映画館で飼われている犬「ジャンゴ」の目線で物語が進んでいきます。シリーズに共通する優しい時間の流れ方は、最後までそのままで、このままいつまでも続いてほしいと感じてしまいます。

犬の目線とはいってもジャンゴが一番人間らしいかも？そんな月舟町は、もしかしたら隣町にあるかもしれない、などと思ってしまう作品です。

月舟町シリーズ番外編となっていますが、児童書としてもおすすめできる作品です。物語の主人公は、月舟町にあるお店の息子、12歳のリツ君です。多感な年頃の少年になりつつあるリツ君が、大人たちとの会話の中で考え、質問しながら成長していく姿を題材としています。

大人目線からも子ども目線からも読めて、読み終わってからも心地よく、また時間を置いてもう一度読みたくなる作品だといえます。

やっぱり月舟町は実在していたんだ！と錯覚してしまうような、物語とエッセイのな狭間のような作品です。400冊もの装丁を行ってきた「ちくまプリマー新書」の400冊目の書籍として執筆されたものです。

著者が物語の登場人物と会話をするなどと少々奇想天外な気もしますが、もう一度最初から月舟町三部作を読み返してみたくなるのは間違いないです。

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吉田篤弘作品に対する口コミは、再読もしくはまた読みたい！などの意見が多かったです。何度も繰り返し読みたいと思われるほど、好まれている作家なのです。

つぎつぎと読者を虜にしてしまう吉田篤弘作品は魅力にあふれているのかもしれません。

月舟町シリーズをはじめ、吉田篤弘の作品はゆっくり穏やかな時が流れる物語が多いです。一つ一つ呼吸をするように、ゆっくりと読み進めるのに向く作品なので、夏の夜の静かなひとときのお供におすすめです。

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