松井今朝子の小説おすすめ10選！新刊は？直木賞受賞作品も紹介

世の中にはとても数多くの小説が出版されています。そこで小説を選ぶ際に、作者から選ぶ方は少なくないはずです。今回は江戸風俗の作品を多く手がける「松井今朝子」の小説について紹介します。

幼い頃より歌舞伎の魅力に取り憑かれ、歌舞伎の企画などに携わってきた小説家・松井今朝子は、その経験を活かした作品をよく書きます。また、歌舞伎関連の入門書監修も行っています。

さて、今回はそんな松井今朝子とはどんな人物なのか、代表作に関する情報、直木賞受賞作品などを詳しく解説します。最後には新作情報や歌舞伎関連の書籍も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

小説家・松井今朝子は、1953年に京都にある料亭の娘として誕生します。幼い頃から歌舞伎の虜になり、早稲田大学大学院文学研究科演劇学修士課程を修了したのちに、竹松株式会社に入社し歌舞伎に関するお仕事をしてきました。

その後、退職しフリーになりましたが、演劇評論家である武智鉄二氏を師匠に歌舞伎の脚本等を本格的に始めました。小説家としては1997年に「東州しゃらくさし」でデビューを果たしています。自身のHPにてブログを更新しており、乗馬が趣味のようです。

テレビドラマ化もされた「仲蔵狂乱」はデビューした年に発表した作品で、第8回時代小説大賞を受賞しています。

舞台は江戸中期、孤児から頂点の看板役者にまで上り詰めた中村仲蔵の一代記です。江戸中期ではすでに生まれた家で生涯の身分や地位が決まってしまう門閥制度が出来上がっていました。しかし、どん底から下積み生活を乗り越え、座頭から千両役者へと上り詰めていきます。

人間関係や陰謀などの人間ドラマだけではなく、その時代の時代背景も絡んでる作品です。

松井今朝子の小説は上記で紹介した「仲蔵狂乱」だけではなく、他にもいくつか受賞作品が出版されています。その中でも以下の2つの小説を紹介します。

こちらの作品は、2007年に第137回直木三十五賞、通称「直木賞」を受賞した作品です。大衆小説を書く方なら一度は憧れる賞です。また、2002年・2003年にもそれぞれ違う作品でノミネートはされましたが、受賞には至りませんでした。

「吉原手引草」は主人公の花魁が失踪し、その事件を追いながら吉原の仕組みや働く人々の姿を描いた作品です。一見華やかに見える吉原遊廓の影や嘘など裏側もわかるような作品です。

渡辺淳一文学賞はまだまだ歴史の浅い賞ですが、2018年度の第4回で「芙蓉の干城」が受賞されました。こちらの作品は、昭和初期の歌舞伎の劇場木挽座を舞台に、連続殺人が起こってしまうミステリー小説です。

ただのミステリーではなく、登場人物同士の人間模様や裏方の仕事にもフォーカスされていて、松井今朝子ならではの作品です。

さて、代表作や受賞作品の紹介を終えたところで、松井今朝子の人気作品を紹介します。数多くある松井今朝子小説の中から厳選した以下6つの作品を解説します。

「吉原十二月」は2011年に出版された作品です。吉原の大籬(おおまがき)である舞鶴屋に幼い少女2人が売られ、楼主がそれぞれの少女を大切に育てます。2人の少女は性格が正反対で、禿時代からライバル心を燃やしています。

また、12ヶ月を通して語られる物語なので四季折々の吉原遊廓の様子も描かれているのです。ゆったりと穏やかに進むストーリーにのめり込むような作品です。

「円朝の女」は2009年に出版された小説です。舞台は江戸から明治に代わる頃、語り口で進むストーリーに読者はすんなりと物語へ引き込まれます。

三遊亭円朝と関係を持った5人の女性たちの艶っぽく色気たっぷりに語られていきます。三遊亭圓朝と5人の女性だけではなく、激動の時代背景についても語られ、読み応えのある作品です。

こちらは2005年に出版された作品です。「芝居三部作」シリーズの2作品目にあたり、1作品目は「非道、行ずべからず」、3作品目は「道絶えずば、また」です。「家、家にあらず」は、1作品目「非道、行ずべからず」の一世代前の物語になります。

笹岡伊織の娘が大名の砥部家の奥御殿に奉公に上がり、陰湿なイジメや勢力争いに巻き込まれてしまいます。その後、奥勤めの女中たちが不可解な死が連続して起こり、ハラハラドキドキの展開です。

「料理通異聞」は2016年に出版された小説です。江戸時代後期の実在した料理茶屋・八百善を舞台に善四郎の生涯を描いたグルメ小説です。美味しそうな料理がたくさんでてくるため、読者の間では「空腹時に読むのは厳禁」とまでいわれています。

時代物でよく出てくる「八百善」は、高級レストランのように描かれていることが多いが、松井今朝子は、精進料理を出していた創業時を描いています。

こちらは2014年に出版された小説です。鋭い観察力と洞察力を持った主人公・志乃と、定町廻り同志の新米・仁八郎が江戸で次々と巻き起こる事件を解決していく物語です。

頭も良く武術にも長けていて人情味もある志乃と、女中たちとのやりとりが痛快でおもしろく、仁八郎もコミカルに描かれていてサクッと読めてしまうような作品です。

「江戸の夢びらき」こちらは2020年に出版された割と新しい小説です。こちらの作品は歴史上の事実をもとにしたフィクション小説です。「松井今朝子だからこそ描けた作品」ととても高い評価を受けています。

歌舞伎界には欠かせない「市川團十郎」の始まりの物語で、幼い頃は海老蔵と名乗り舞台に出れば、滅茶苦茶な破天荒さもありました。しかし、周りを惹きつける力があり「荒事」の追求の果て、民衆からも人気を集めました。空前の一代記です。

先ほどから何度も記述していますが、松井今朝子はとにかく歌舞伎に魅せられています。幼い頃から歌舞伎に触れ、社会人になってからは歌舞伎の裏方へと回りました。そんな、松井今朝子が手がけた歌舞伎入門書を紹介します。

小説家・松井今朝子の新刊に関する情報は2022年7月現在、今のところありません。渡辺淳一文学賞を受賞した「芙蓉(ふよう)の干城(たて)」が一番新しい作品になっています。

しかし、松井今朝子は毎日のように自身のブログを更新しています。趣味の乗馬に関することや日々の料理を載せるなど、松井今朝子のプライベートな一面を見られます。

江戸風俗や歌舞伎関連の小説が多い松井今朝子の作品では、その時代背景や人間模様などを細かく描かれています。その中で、今まで自分自身の中にはなかった感情や視点などの気づきも生まれます。松井今朝子の小説を読んでみたい方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

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