椎名誠の小説おすすめ11選代表作・私小説の解説や最新作も紹介！

椎名誠のエッセイはとにかく痛快で大胆不敵とも？口調も少し荒く、バンカラ気質が感じられる部分がとても小気味いいです。昭和のいいところ悪いところをごちゃまぜに”おりこうさん”ではなくちょっとドジなところなど、読者が身構えず楽しめる作品として人気を得ています。

椎名誠が自身の目で見て聞いたものを文章にし、まっすぐ読者にぶつけてくる、少年のまま大人になったような作風が、多くの人から好まれている理由です。怪しい探検隊シリーズなど、読んでいるこちらまで参加したくなるような作品です。

他にもSF物・シリアスな小説・自身の家族も登場する私小説も読みごたえがあります。代表作のひとつ「岳物語」は自らメガホンも握り映画化・公開されています。

椎名誠にはいろいろな顔があるのです。作家・エッセイスト・写真家・映画監督など、過去には雑誌編集の職に就いていた時期もあります。もう一つ、多くのエッセイの土台になっている、冒険家の側面もあります。

椎名誠は1994年6月に生まれ、1968年に作家の渡辺一技と結婚しました。世界を飛び回り写真家・冒険家や映画製作、さらに「本の雑誌社」の立ち上げに尽力するなど精力的に活動していました。

最近では3人の孫を題材にしたエッセイを書くなど、78歳の現在ももちろん現役で、文筆力も衰えを感じさせず椎名節は今も健在です。

椎名誠の配偶者である渡辺一技も冒険家の一面を持っています。1987年まで東京近郊の保育園で保育士として働いていました。

椎名誠と結婚後に世界を飛び回る夫を見て、自分も冒険してみたいと告げたら「行けばいいよ」と簡単に言われ、冒険家の一面を得てそれを題材に執筆するようになりました。代表作はチベットへの紀行小説ですが、最近は福島県に関わる著作が主になっています。

椎名誠著作品はどこから入っても間違いはないと思います。冒険紀行小説・SF小説・日常を描いた私小説・仲間と繰り広げられるさまざまな出来事を面白おかしく綴っているエッセイ、どれをとっても堪能させてくれる多彩な作家です。

椎名誠の作品は、おじさん集団のちょっとドジな冒険エッセイシリーズが人気ですが、一番の代表作は『岳物語』です。椎名誠と渡辺一技夫妻の長男、渡辺岳氏の成長を父親の目線で綴った私小説です。

岳少年の成長と共に反抗期など、家族とのエピソードを椎名節でクスッと笑えて、わかるな、と納得します。どこにでもいそうで身近に感じられる、椎名誠家を書いた私小説です。のちに主人公である岳氏は、自分を書かれたのに不満を口にしていたそうです。

体力作家の異名を持つともいわれている椎名誠の作品には、冒険紀行小説が多くあります。世界の辺境と言われるカナダの北極圏から、南米最南端のパタゴニア地方への冒険旅行を写真と小説で刊行した作品は時が経っても色あせないです。

冒険紀行小説の中には、椎名誠の冒険家への憧れを持ったのは「十五少年漂流記」を小学生の時に読んだのがきっかけでした。そのモデルになった島へ行くチャンスが巡り、南太平洋に向った紀行小説が「十五少年漂流記への旅：幻の島を探して」です。

• インドでわしも考えた
• 十五少年漂流記への旅：幻の島を探して
• シベリア追跡
• 冒険に出よう

椎名誠のSF小説代表作は『アド・バード』です。この作品は、1990年に第11回日本SF大賞を受賞しています。SF三部作と言われる内の一作品です。

小説誌『すばる』に、1987年9月から1989年12月まで連載されていたものを、1990年3月に集英社から刊行されSF大賞に選ばれたのです。腐敗都市を兄弟が父親を捜して旅するストーリですが、現代社会に警鐘を鳴らしているようなところもあり、注目を集めた作品です。

• アド・バード
• 水域
• 武装島田倉庫

椎名誠の私小説は、多く刊行されています。その中でも代表格は、映画化もされた『岳物語』です。他にも家族、特に妻である渡辺一技を思いながら書いていた『パタゴニア：あるいは風とタンポポの物語』があります。

他に青春時代からの出会い別れた女性との思い出を、春に咲く菜の花の記憶とかぶせながら書かれた短編集です。それぞれの短編に魅力的な女性が書かれていて、ちょっとワクワクほっこりする作品です。

私小説はどの作品も読了後が心地よく、椎名誠の人柄が現れています。

• パタゴニア　あるいは風とタンポポの物語
• かえっていく場所
• 岳物語
• 菜の花物語

椎名誠のエッセイは、子ども向けにも紹介されています。冒険旅行など旅先で感じた心情をしたためた作品が多く、まだ見ぬ世界への希望をもたらせてくれるエッセイはおすすめです。

また、日々の生活に基づくエピソードを中心としたエッセイも多く執筆しています。その中でも事故にあって九死に一生を得たエピソードは、とてもリアルです。タクシーに乗っているときに追突され、肩を痛めた話や、自分が運転していて追突事故を起こした話は、読み手に警鐘を鳴らしているようにも感じられます。

小説家、椎名誠には写真家の側面があり、さらに映画監督まで行ってしまう多彩な才能を持っています。あらゆる分野も中途半端を嫌い、全力で取り組む椎名誠の世界観が写真家及び映画監督としても成果を残しているのです。

最初の映画作品と言われている『ガクの冒険』は16mmの記録映画です。1993年公開の『白い馬』は、モンゴルとの合作映画で、日本映画批評家大賞最優秀映画監督賞を受賞しています。さらに、フランス「ホーヴェ映画祭」においてグランプリに輝いています。

『シルクロード・桜蘭探検』は中国への旅が広く解禁されていなかった1980年に、未知なる国を探検した時のエピソードとその時に書けなかったものや、その後分かった驚きの事実を暴論しています。

さらにその8年後の、日中共同桜蘭探検隊の一員として参加した際の、過酷すぎたタクラマカン砂漠での旅もようを併せて”冒険紀行小説”として2022年5月に刊行されています。こちらも伏せていた事実などを思い切りよく公表しています。

多くの作品がある椎名誠の小説ですが『ヤドカリ探検隊』などの探検隊シリーズは、小学国語の教科書にも載ったのでご存じの人もいると思います。子どもから大人まで読み、楽しめる作品が多い椎名誠の小説を堪能しましょう。以下もあわせてご覧ください。